平成31年度 入学式校長式辞
国際鍼灸専門学校
校長 近藤雅雄
本校に入学された皆様を、心から歓迎しお祝申し上げます。皆さんの多くは、本校の学校説明会あるいは見学を通して、本校への入学を決意されたのだと思います。その選択に敬意を表すると同時に、その選択は極めて賢明な判断であったと思います。
本校は、1957年創設以来60年以上にわたり「東西医学の統合」を建学の精神として、安心・安全な医療の提供を綿々と引継いで来ました。その成果として、本校の卒業生は全国各地で地域医療の担い手として、さらに斯界の指導者として巾広く活躍しおります。これは本校の大きな財産です。東洋医学はそれぞれの症状・病態に合わせたオーダーメイドの医療、ヒトの本質・個々の人間性を尊重した全人的医療であり、極めて奥の深い医療です。これからの3年間、治療師を目指す医学生として、東西の医学知識を徹底的に学び、医療の一翼を担う責任を自覚し、大いに自己啓発に努め、患者さんに信頼される医療者となるために、奉仕の精神をもって、すべての人に信頼され尊敬される豊かな人間性を確立して行ってほしいと願います。そして、自分自身で主体的に考え判断し、行動できる人になって下さい。
さて、厚生労働省は2025年を目処に、地域包括ケアシステムの構築を目指しています。これは人の生涯を、住まい・医療・介護・予防・生活支援などが一体となった、地域完結型医療を実現しようというものです。皆さんが自らの意志で選択した「あはき」師は、日常の業務以外に、災害時に活躍する災害鍼灸、スポーツ現場で活躍するスポーツ鍼灸、介護施設などで活躍する機能訓練指導員、そして介護予防で活躍する介護予防運動指導員など、その活躍の場が、どんどん広がってきております。活躍の場が広がると同時にチーム医療の連携など、行政や他の医療・介護専門職などとの連携が必要不可欠となってきます。
一方、伝統医学として親しまれてきた東洋医学が漸く国際的に認められ、WHO国際疾病分類、第11回改訂に加わり、今年5月の、WHO総会の承認を待つのみとなりました。これによって、鍼灸による診断・治療の保健統計の国際基盤ができ、今後、厚生行政・教育・研究・マスメディアの各方面にて注目されていくことでしょう。今年は、まさに鍼灸医療の幕開けであり、本校が60年以上掲げてきた「東西医学の統合」の真価が花開く年と言えます。しかも、令和元年、私たちはこの新しい時代の幕開けに皆さんと共に勉強できることを楽しみにしております。皆さん、これら時代の流れをしっかりと見つめ、5年後、10年後の未来社会に応える医療者を目指し、頑張っていこうではありませんか。そのためにも、意識的に,生涯何があっても学ぶことに最大の価値を置き、よく学び、よく学ぶ、に徹してください。
本日より、皆さんは新しい時代を担う医学生として、東西医学の学修は勿論のこと、様々な体験や体感を通して、いのちを大切にする心、他者を思いやる心といった、人間としての基礎を育んでください。人間の本質は遊びですが、人間の基本は言葉です。言葉の基本は挨拶です。まず、おはようございます。こんにちは。等の挨拶をしましょう。この一言の短い挨拶をするだけで、お互いにとても気分がよくなります。信頼関係も醸成されます。“ありがとう”や“感謝します”という言葉が、自然に出るようになると素晴らしいと思います。皆さんは、幅広い年齢層で、その生い立ちも勿論異なりますが、同じ志を持つ者として、仲良く、前向きな言葉を使うよう努力して下さい。そうすれば、免疫力が高まり、学校生活も楽しくなり、毎日、ワクワクした気分で通学できると思います。こうしたプラスの言葉が皆さんのこれからの学校生活を感謝と喜びに満ちた、素晴らしいものになることを確信しております。そして、3年後には、沢山の知識と技術を身に付け、全員が“あはき師”の国家資格を取得することでしょう。そのためには、“あはき師”になりたいという同じ志を持つ者として、クラスの仲間と助け合い、支え合い、励まし合い、勉強していって下さい。私たち教職員は学生目線を大切にし、学生ファーストを固守し、皆さん全員が心底から、成長を実感して頂けるよう、国家資格取得まで大きな努力を続けてまいります。
最後に、本日が皆さんにとって新しい門出、これからの3年間、充実した学園生活が楽しく送られること、そして、皆さんが、「東西医学の統合」の牽引車になることを期待して、国際鍼灸専門学校の入学式式辞とさせていただきます。